持病がある場合、医療保険はどのように選べばいいのでしょうか?
注意すべきポイントについて解説します。
持病があっても加入できる医療保険とは
持病があっても加入できる医療保険は「引受基準緩和型医療保険」や「限定告知型」等と呼ばれています。
通常の医療保険とは異なるいくつかの特徴があります。
@持病があっても加入できる医療保険の特徴
保険料が割高
持病がある人や健康に不安のある人でも医療保険に加入できるよう、保険会社は保険契約を引き受ける際の基準を緩くしています。
保険会社は通常の医療保険よりも給付金等を支払う機会が増えるので、健全で公平な経営をしていくためには支払に見合う保険料を加入者から受け取る必要があります。その為、持病があっても加入できる医療保険は、通常の医療保険より保険料が割高になっています。
1年以内は保障が半額
持病がある人や健康に不安のある人が加入することは、保険会社にとって大きなリスク要因です。
もし加入してから数か月しか経っていない時に、何十万円、何百万円の給付金を請求する人が多発したら、この保険は成り立たなくなってしまいます。
支払事由が発生した時に保険会社が給付金を支払うのは当然ですが、 モラルリスクのあるような契約を極力排除するために、加入後1年間は保障額を半額に設定しています。

告知項目が少ない
通常の医療保険と同じ告知書を使っていたら、持病がある人や健康に不安のある人は多くの告知をしなければならないでしょう。そうなると、健康状態を記入する人も大変ですし、契約の引受可否を判断する保険会社も大変です。
告知項目を少なく簡単にすることで申込時の手間が軽減され、保険会社に契約の引受を断られて気分を害する申込者も減る(申込前にある程度判断可能なので)でしょう。
申込時に保険会社が必要以上の個人情報を得ることもなくなります。
A引受基準緩和型と無選択型の医療保険、通常の医療保険との違い
持病があっても加入できる引受基準緩和型の医療保険と通常の医療保険では、申込時に求められる健康状態の告知項目に大きな違いがあります。無選択型は告知の必要がありません。
告知項目の例
通常の医療保険の告知項目 | 引受基準緩和型医療保険の告知項目 |
---|---|
過去3か月以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか? | 過去3か月以内に医師の診査・検査で入院・手術すすめられたことがあるか? |
過去5年以内に病気やケガで継続7日以上の入院や手術をしたことがあるか? | 過去1年以内に病気・ケガで入院・手術をしたことがあるか? |
過去5年以内に保険会社所定の病気(※)で医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか?保険会社所定以外の病気で7日以上の治療・投薬等があるか? | - |
過去がんになったことがあるか? | 過去5年以内にがん(上皮内がん含む)・肝硬変で入院・手術を受けたことがあるか? |
過去2年以内に健康診断等を受けて異常を指摘されたことがあるか? | - |
聴力・言語・そしゃく機能・手足指の機能・脊柱に障害があるか? | - |
現在妊娠しているか? ※女性のみ | - |
※保険会社所定の病気は告知書に別表で全て記載してあります。
告知項目は保険会社によって異なるので上記は一例になります。引受基準緩和型では健康診断の結果は問われず、過去のがんについても期間を区切っているなど、告知項目が少なく易しい内容になっています。
通常の医療保険に加入できないか検討
引受基準緩和型の医療保険は通常の医療保険より保険料が割高なので、通常の医療保険に加入できる可能性があるなら、まずは通常の医療保険への加入を検討した方がいいでしょう。
@ 病気の種類によっては、通常の医療保険に加入できる可能性がある
通常の医療保険に加入する時は上記例のような告知項目があり、答えが「はい」の場合は詳細に内容を記入しなければなりません。
ただ、詳細に記入したら加入できないと言うことではありません。最近医師による診断や投薬を受けたことがあっても、既に完治していれば不問の場合もあります。健康診断を受けて異常を指摘されていても、保険会社が保険契約引受を断る基準に達していないこともあります。
まずは、通常の医療保険に加入できるかどうか保険会社や代理店に相談してみるといいでしょう。
A条件をつけた上での加入が可能か確認した上で、引受緩和型の商品と比較するのも手段のひとつ
通常の医療保険では加入できる場合でも特別条件を付けられることがあります。
給付金支払削減
保険会社は保険金や給付金を支払う事由が発生した時に削減して払うことです。
引受緩和型の医療保険の場合、支払削減期間は加入してから1〜5年で設定されている商品が多いようです。
特定部位不担保
体の特定部位や特定疾病は保障せず、それ以外は通常通り保障するというものです。
不担保期間は加入してから一定期間の場合もあれば全期間の場合もあります。
特定部位は「甲状腺」「食道」「胃・十二指腸および空腸」「直腸および肛門」、特定疾病は「異常妊娠・異常分娩」「外傷に伴う合併症・後遺症」等があり、胃のポリープがあると「胃・十二指腸および空腸」は3年間不担保(保障対象外)のような条件が付く可能性があります。
不担保期間については、保険会社によって基準が異なる場合があります。

特別条件が付くことを言われた時は、条件内容を引受基準緩和型等の医療保険と比較してから加入の判断をしてみてもいいでしょう。
(関連ページ:誰でも入れるわけではない?知っておきたい保険会社の「審査」)
加入時の告知は正確に!
持病でも加入できる医療保険は告知項目が3〜4つしかないので、ゆっくり落ち着いて読み、問われていることに「はい」または「いいえ」で回答しましょう。誤った回答によって加入したことで告知義務違反となり、給付金を受け取れない可能性もあるので、正しく告知する必要があります。(関連ページ:告知義務と告知義務違反)
例えば、過去5年以内のがんの入院・手術歴を問われているなら、6年前のがんの手術は告知する必要はありませんが、投薬や検査などの言葉の意味を保険会社とは異なって捉えてしまう可能性もあるので、少しでも判断に迷ったら、事前に保険会社や代理店へ確認するようにしましょう。
※質問に対して全て「いいえ」であれば申し込みでき、ひとつでも「はい」があると加入できないとしている保険会社が多いですが、中には「はい」があっても、内容によっては加入できる保険会社もあります。また、質問に全て「いいえ」で回答しても総合的な判断により加入できない場合もあります。
持病があっても加入できる医療保険は、通常の保険と比べて保険料が割高だったり加入後1年以内は保障が半額だったりしているので、保障内容や保険料を十分に確認してから加入を検討することが重要です。
健康状態によっては通常の保険に加入できることもあり、加入時期を少し遅らせることで加入が可能(告知が不要になる)になることもあります。最初から決めつけてしまうのではなく、通常の医療保険で加入できるものがないか調べてみるのも重要です。
※持病があっても加入できる引受基準緩和型や限定告知型の医療保険は、保険会社によって保障内容が異なります。告知項目や引受の基準等も異なります。 詳細については保険会社や保険代理店に確認してみましょう。
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