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妊娠・出産は家族にとって喜ばしいできごとです。ただ、出産には大きな出費を伴います。
自然分娩(ぶんべん)の場合、出産に伴う費用は公的医療制度の対象にならず全額自己負担になりますが、民間の医療保険に加入しておけば、この費用をカバーすることができるのでしょうか。
2023年3月16日更新
自然分娩の場合、一般的に公的医療制度も民間の医療保険も給付の対象にはならない
公的医療制度により「出産育児一時金」が42万円受け取れ、自然分娩の費用はまかなえる
帝王切開などの異常分娩の場合、民間の医療保険も入院給付金や手術給付金の給付対象になる
民間の医療保険への加入を検討するなら妊娠前が望ましい
以下、記事の詳細
厚生労働省保険局の調査によると、正常分娩(自然分娩)にかかる平均的な費用は以下のとおりです。
令和元年度正常分娩分の平均的な出産費用
項目 | 平均値 |
---|---|
入院料 | 115,047円 |
室料差額 | 18,074円 |
分娩料 | 266,470円 |
新生児管理保育料 | 49,980円 |
検査・薬剤料 | 13,880円 |
処置・手当料 | 14,840円 |
産科医療補償制度 | 15,740円 |
そのほか | 30,151円 |
妊婦合計負担額 | 524,182円 |
妊婦合計負担額が約52万円となっていますが、「室料差額(差額ベッド代)」18,074円と、直接分娩に関わらない「そのほか」30,151円を差し引いた47万円から48万円程度が、自然分娩にかかる平均的で実質的な負担額とみていいでしょう。(関連ページ:差額ベッド代とは)
なお、自然分娩での入院日数は平均6日となっています。
異常分娩になると、もっと費用がかかります。
異常分娩にはさまざまな症状や治療方法がありますが、たとえば「帝王切開」をした場合の手術費用は20万円から24万円程度かかり、入院日数も自然分娩のときよりも長くなります。
妊娠や出産は病気ではないため、自己負担が医療費の3割で済む公的医療保険制度の「療養の給付」の対象にはならず、全額が自己負担になります。
しかし、その一方で、妊婦健診にかかる費用は、多くの自治体が自己負担の軽減策として助成制度を設けており、出産費用については、公的医療制度から子供1人42万円の「出産育児一時金」が支給されます。
そのため、正常に妊娠して自然分娩をする場合、妊娠・出産に関わる費用の多くは、公的な助成制度や「出産育児一時金」でまかなうことができます。(関連ページ:国民健康保険)
生命保険会社が提供している民間の医療保険も、一般的に正常妊娠や自然分娩に関しては、給付金の支払い対象にはなりません。
異常妊娠・異常分娩の例
一方、右に例示した異常妊娠・異常分娩に伴う治療などは、公的医療制度の「療養の給付」の対象となり、自己負担額は医療費の3割にとどまります。
また、「高額療養費制度」によって、1か月当たりの自己負担額には所得に応じて上限が設けられています。
高額療養費のシミュレーションをしたい人は「高額療養費の自己負担限度額」ページをご覧ください。
保険会社が提供している民間の医療保険も、異常妊娠・異常分娩の治療で要件を満たせば給付金の支払い対象となり、主に「入院給付金」、「手術給付金」が支払われます。
出産育児一時金を受け取っても減額されることはなく、医療保険加入でさらにカバーできることになります。
たとえば、帝王切開分娩のために10日間入院し、公的医療制度の適用となる入院・手術費用が合計30万円かかったとします。(関連ページ:その他の妊娠・分娩、産じょく(帝王切開/妊娠糖尿病など)の入院費用相場)
このうち自己負担額は3割の10万円ですが、高額療養費制度を活用すると実際の自己負担は、その人の所得に応じておおむね6万〜9万円程度にとどまります。
そのほかの公的医療制度適用外の費用は、出産育児一時金42万円で大半をカバーすることができるでしょう。
民間の医療保険に加入していた場合は、さらに入院給付金と手術給付金などを受け取れます。
入院給付金が1日5,000円、手術給付金が入院給付金の10倍(5万円)の医療保険に加入していた場合、
を受け取ることができます。
このように、民間の医療保険によっても異常分娩に伴う出費をカバーすることができるのです。
帝王切開で出産した場合
日本では、帝王切開で出産する人の割合が20%弱に昇っています。
出生数と帝王切開数の推移
この5人に1人が帝王切開で出産する現状を考えると、今後、妊娠・出産を予定している方のなかには、民間の医療保険に加入して、いざというときの追加出費に備えようと考えているかもしれません。
その場合、医療保険に加入するタイミングは妊娠前がよいでしょう。なぜなら、妊娠中は妊娠前よりもリスクが高くなると考えられているからです。
民間の医療保険では、妊娠後一定期間内であれば加入できますが、それを過ぎると妊娠に伴うトラブルが起こる確率が高まるため加入できなくなる可能性があるので注意が必要です。
妊娠中に加入した場合でも、妊娠や出産に伴う入院や手術では保障されないという特別条件が付く場合があります。
つまり、異常分娩に備えて医療保険に加入しようとしても、妊娠中に加入した場合は、目的を果たせない可能性があるのです。
1人目の子供では妊娠時に加入しておらず、出産した後に2人目に備えて加入しようとしても、最初の出産が帝王切開だった場合は、やはり特別条件が付き、加入後一定期間は帝王切開を含め子宮に関係する病気では保障されないことが多いようです。
このようなことから、医療保険の加入のタイミングは、妊娠前がよいといえるでしょう。
妊娠・出産するときには、負担を軽減するために公的な補助制度がいくつかあります。
上項にも記載したように、「出産育児一時金」として1児につき42万円を受け取ることができます。
また、会社員(公務員)の人は、産休中の生活をサポートするために、「出産手当金」を受け取ることができます。
出産手当金とは、妊娠4か月(85日)以上で出産する場合に、産前42日間(双子以上は98日間)、産後52日間に標準報酬日額の3分の2の金額を支給するものです。出産のために仕事を休み、会社から給料の支給を受けていないことが条件になります。
また、切迫流産や妊娠悪阻(にんしんおそ)によって仕事を休む場合は、「傷病手当金」(標準報酬日額の3分の2の金額)が支給されます。
出産手当金の支給イメージ
そのほかに、これまで述べた地方自治体による妊婦健診費用の助成制度や、公的医療制度による「療養の給付」、「高額療養費制度」などがあります。
これらをうまく使って、出費のカバーだけでなく、収入の補填(ほてん)にもなれば家計に大きな負担をかけずに済みます。
医療保険は妊娠・出産時のトラブルにだけ備えるためのものではありません。さまざまな病気やケガによる入院や手術などのリスクに備えるためのものです。したがって、加入を検討するタイミングはいくら早くても問題ありません。妊娠前よりもっと早い、結婚前でもかまいません。
早く加入しておけば、将来、妊娠や出産時にトラブルに見舞われても、それに備えることができます。
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