更新日:2026年7月30日
高額療養費制度を利用することで、医療費が高額になった場合でも、自己負担を軽減できます。
この記事では、高額療養費制度の仕組みのほか、制度が適用されずに自己負担となる費用の備え方について解説します。

この記事の監修者

株式会社カカクコム・インシュアランス
CFP®資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、社会保険労務士
森谷 智彦
医療機関で受診した際、多くの場合、自己負担は総医療費の3割です。
ですが、入院や手術といった治療の内容や期間によっては、3割の自己負担でも医療費が高額になることがあります。この場合に活用できるのが、高額療養費制度です。
高額療養費制度とは、1カ月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合に、超過分の支払いが不要または払い戻される公的な医療保険制度です。
マイナ保険証や限度額適用認定証を提示すると、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます 。
ただし、複数の医療機関を受診した場合や、家族の医療費を合算(世帯合算)する場合は、後日申請して払い戻しを受ける必要があります。
たとえば、70歳未満で年収約370万円〜770万円の方の1カ月の医療費が、100万円だったとします。
通常の3割負担では30万円の自己負担が発生しますが、以下の表1にあるように、高額療養費制度を利用することで自己負担は92,940円まで抑えられます(85,800円+(1,000,000円−286,000円)× 1%)。
また、2026年8月からは「年間上限」が新設され、医療費の自己負担額が年間(8月1日〜翌年7月末日)上限額に達した場合は、それ以上の医療費の負担が不要になります。
表1 【2026年8月改正】70歳未満の自己負担限度額
| 所得区分 | 月単位の自己負担限度額 (世帯ごと) |
年単位の上限額 (年間上限) |
|---|---|---|
| 多数回該当 | ||
| 住民税非課税 | 36,900円 | 290,000円 |
| 24,600円 | ||
| 年収〜約370万円 健保(標準報酬月額<※1>):26万円以下 国保(旧ただし書き所得<※2>):210万円以下 |
61,500円 | 530,000円(※3) |
| 44,400円 | ||
| 年収約370万円〜約770万円 健保(標準報酬月額):28万円〜50万円 国保(旧ただし書き所得):210万円〜600万円 |
85,800円+(医療費−286,000円)× 1% | 530,000円 |
| 44,400円 | ||
| 年収約770万円〜約1,160万円 健保(標準報酬月額):53万円〜79万円 国保(旧ただし書き所得):600万円〜901万円 |
179,100円+(医療費−597,000円)× 1% | 1,110,000円 |
| 93,000円 | ||
| 年収約1,160万円〜 健保(標準報酬月額):83万円以上 国保(旧ただし書き所得):901万円超 |
270,300円+(医療費−901,000円)× 1% | 1,680,000円 |
| 140,100円 |
なお、当月を含む直近12カ月で3回以上、高額療養費制度を利用した場合は、4回目から自己負担限度額がさらに下がります(多数回該当)。たとえば、70歳未満で年収約370万円〜770万円の場合、4回目以降の自己負担限度額は44,400円になります。
また、「世帯合算」といって、同じ健康保険に加入している同一世帯内の医療費を合算できます。1人では自己負担限度額に届かない医療費でも、世帯内で合算することで限度額に達し、高額療養費制度が適用される場合があります。
ただし、高額療養費制度を利用するときには、以下のような注意点があります。
高額療養費制度を利用することで自己負担を軽減できますが、このような注意点があるほか、自己負担がなくなるわけではありません。
高額療養費制度を利用することで、自己負担額を大幅に抑えられます。
一方で、高額療養費制度が適用されるのは、公的医療保険の対象となる費用のみのため、全額自己負担しなければならない費用もあります。
ここからは、高額療養費制度が適用されない費用を見ていきましょう。
入院中の食事代は、1食あたり約550円(※1)で1日あたり1,650円になります。入院日数が長くなるほど、この費用が積み重なります。
さらに、1人部屋から4人部屋を希望して利用した場合は、差額ベッド代もかかります。差額ベッド代の1日あたりの平均は6,862円(※2)で、本人が希望しない場合は発生しませんが、全額自己負担となる点には注意が必要です。
また、がん治療で用いられることのある先進医療の費用も、全額自己負担です。先進医療とは、厚生労働大臣から承認された最新の医療技術のことで、治療にかかる技術料は数百万円にのぼるなど高額な場合もあります。
このほか、自由診療や入院中の雑費も全額自己負担となるため、高額療養費制度が適用されない費用に対する備えも必要といえるでしょう。
近年、入院日数は短期化の傾向にありますが、入院中には食事代や雑費など1日あたり自己負担が発生します。プライバシーを重視したいなどの理由で差額ベッドを希望した場合は、費用がさらにかさみます。
こうした費用への備えとして、民間の医療保険を活用するとよいでしょう。病気・ケガで入院や手術をした場合に受け取れる給付金を、自己負担の費用に充てることができます。
また、民間の医療保険には、先進医療の技術料が保障されるものもあります。高額になりやすい先進医療が保障されることで、治療の選択肢が広がり、経済的な安心にもつながるでしょう。
民間の医療保険は商品ごとに保障内容や保険料が異なるため、まずは年齢・性別を選択して、保険料やどのような医療保険があるかを確認してみてください。
「どの医療保険がよいかわからない」など、保険選びに迷った場合は、保険の専門家に相談することも選択肢の一つです。
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