更新日:2023年3月2日
たとえ高額な医療費がかかったとしても、その負担を軽減してくれるのが「高額療養費制度」。一体どのような制度なのか、詳しくみてみましょう。
この記事の執筆者
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
工藤 清美
大学卒業後、シンクタンクでシステム開発に従事。後、出版社に転職し記者として取材執筆を行う。子育てを経て、金融機関に勤務。ファイナンスMBA取得後、FPとして独立。主にマネーに関するセミナーや執筆を中心に情報を発信している。潟vラチナ・コンシェルジュ所属。
大学卒業後、シンクタンクでシステム開発に従事。後、出版社に転職し記者として取材執筆を行う。子育てを経て、金融機関に勤務。ファイナンスMBA取得後、FPとして独立。主にマネーに関するセミナーや執筆を中心に情報を発信している。潟vラチナ・コンシェルジュ所属。
現役世代の場合、保険証を医療機関に提示すると、通常、自己負担は総医療費の3割です。しかし、入院が続いた場合などは3割負担でも高額になることがあります。
そこで頼りになるのが高額療養費制度。高額療養費制度は、1か月あたりの自己負担額が一定額以上になった場合にその超過分を払い戻してくれる公的な医療保険制度で、会社員でも自営業者でも同様に利用することができます。
たとえば、1か月の医療費が総額100万円かかった場合、自己負担額は3割負担の30万円ですが、高額療養費制度を利用すると自己負担額は87,430円(年収約370万〜770万円の場合)と大きく軽減されます。差額分の212,570円は国が負担してくれるのです。
過去12か月のうち3回以上、高額療養費制度を利用した場合は4回目以降の自己負担額は月44,400円とさらに軽減されます。
前もって「限度額適用認定証」を病院側に提示すると、入院、通院ともに自己負担分のみの支払いとなります(認定証がない場合は、3割負担し後日払い戻し)。高額な薬を処方される場合も、薬局に認定証を提示すれば同様の扱いとなります。あらかじめ入院がわかっている場合は、自分の加入する健康保険に事前に申請しておくといいでしょう。
自己負担額の計算式(70歳未満の場合)
所得区分 | 自己負担分 | 4回目以降 | 医療費100万円の場合 |
---|---|---|---|
@区分ア 年収約1160万円〜 (標準報酬月額83万円以上の方) |
252,600円+(総医療費−842,000円)×1% | 140,100円 | 254,180円 |
A区分イ 年収約770万〜1160万円 (標準報酬月額53万〜79万円の方) |
167,400円+(総医療費−558,000円)×1% | 44,400円 | 87,430円 |
B区分ウ 年収約370万〜770万円 (標準報酬月額28万〜50万円の方) |
80,100円+(総医療費−267,000円)×1% | 44,400円 | 87,430円 |
C区分エ 〜年収約370万円 (標準報酬月額26万以下の方) |
57,600円 | 44,400円 | 57,600円 |
D区分オ (低所得者・住民税非課税者) |
35,400円 | 24,600円 | 35,400円 |
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こうやってみると、日本の公的医療制度はかなり手厚いと思いませんか。ある程度貯蓄をしておけば、通常の民間医療保険は必要ないという考え方もあります。
しかし、高額療養費制度にはいくつかのルールがあり、対象外となる費用もあるので確認しておきましょう。
高額療養費制度にはこのようなルールがあります
通常、一般所得者の場合、入院時の食事代負担額は1食あたり460円。差額ベッド代は1日あたり平均6,613円(令和3年7月現在、厚生労働省中央社会保険医療協議会)です。差額ベッド代は自分から希望しなければかかりませんが、6人部屋から4人部屋に変更してもらうだけでも必要となってきます。 「ゆっくりと療養したい」「プライベートを重視したい」という人は、1日5,000円程度の民間の医療保険に加入していたほうが安心ですね。
また、がんの場合は、治療が長引いたり、医療費が高額になったりする可能性があります。たとえば、がん治療のために先進医療を利用する場合は、通常の保険診療分(診察、検査、投薬、入院料など)は保険診療および高額療養費制度の対象となりますが、先進医療分は対象外となるため全額自己負担となります。 先進医療に指定されていない自由診療を利用する場合は、通常の保険診療分も保険対象外となり、保険診療分と自由診療分ともに全額自己負担となるため、さらに高額な医療費が必要となります。
最近では、先進医療や自由診療をカバーする保険も多く出てきています。やはり、公的な保険でカバーできないところを民間の保険でカバーする、ということが必要ではないでしょうか。
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