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更新日:2025年5月12日

医療保険の通院保障とは?通院だけでは受けられない保障の仕組みを解説

医療保険の通院保障について、知っておくべき5つのポイントを解説します。


この記事の要点
  • 医療保険の通院保障は、通院しただけでは保障されず、入院後の通院に対して保障があるものが多い
  • 検討の際は、退院後に通院する可能性がどのくらいあるか、通院給付金の日額や保障期間、通院一時給付金の保障などを確認

病気やケガで病院へ通院したことのある人は多いでしょう。通えば通うほど交通費や治療費などで出費を伴うので、加入している保険会社の医療保険から通院したときでも給付金を受け取りたいと思っている人はいるのではないでしょうか。 実は一部の医療保険には通院の保障があります。でも、この保障を付加しておけば通院への備えとして安心できるのでしょうか? 医療保険の通院保障について、知っておくべき5つのポイントをまとめてみました。

医療保険は通院をしただけでは保障されない

医療保険の主な保障は、病気やケガで入院したときに受け取れる入院給付金保障と手術をしたときに受け取れる手術給付金で、必要に応じてその他の保障を付加していきます。
付加できる保障は、各保険会社の医療保険によって異なりますが、先進医療保障やがんに関する保障、三大疾病に関する保障、女性疾病に関する保障などは比較的多くの医療保険で付加することができます。

通院の保障は一部の医療保険で特約として用意されているので、希望して付加すれば通院にも医療保険で備えることができますが、実は医療保険の通院保障は、通院しただけでは保障されません。
病気やケガで入院給付金を受け取れるような入院をし、退院した後に通院したら通院給付金を受け取れるようになっているので注意が必要です。

  • 入院前の通院も保障の対象にしている商品もあります。

通院保障が入院を前提としているのは、入院患者に比べて通院(外来)患者が圧倒的に多い現状も影響していると考えられます。 厚生労働省の患者調査で確認してみると、患者総数のうち86.1%は外来患者であり、外来患者は入院患者の6.2倍にもなります。

推計患者数(入院・外来)

  患者数(千人) 割合
総数 8450.3 100.0%
入院患者 1175.3 13.91%
外来患者 7275 86.09%
  • 出典:令和5年度患者調査(厚生労働省)

保険会社にとっては、多くの外来患者も保障対象にするなら、それに見合った保険料を受け取らないと経営が成り立ちません。
また、風邪で入院することなく数回だけ通院するような場合は、治療費などの負担は軽いので、保障がなくても特に困らないという考えもありそうです。

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医療保険の通院保障の内容

医療保険にある通院保障は特約の場合が多く、おおよそ下記のような保障内容になっています。

入院給付金の保障対象になっている病気やケガで入院をした場合

  • 退院した日の翌日から120日以内に通院したときに、通院給付金を受け取ることができるもの

  • 入院した日の前日からさかのぼって60日以内および退院した日の翌日から120日以内に通院したときに、通院給付金を受け取ることができるもの

  • 退院後に通院を開始したら通院給付一時金を、退院した日の翌日から120日以内に通院したときに、通院給付金を受け取ることができるもの

退院した後の保障対象期間が120日以内ではなく180日以内としている医療保険もあります。
1回の通院での保障限度日数は30日、保険期間通算では1,000日または1,095日の場合が多いようです。
また、通院保障には往診も含まれますが、治療処置を伴わずに薬などを受け取りに行くだけの通院は含まれません。

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医療保険以外なら通院をしただけで保障される場合がある

医療保険以外では入院をしなくても通院給付金を受け取れる保険があります。 たとえば、がん保険と傷害保険の通院保障は下記のようになっています。

がん保険

がんの三大治療(手術・放射線治療・抗がん剤治療)のために通院したときと、がんの入院給付金の保障対象となっている入院をして退院日の翌日から365日以内に通院したときは、日数無制限でがん通院給付金を受け取れる。

傷害保険

補償対象となるケガをし、その日を含めて180日以内に治療のために病院などへ通院したなどに、実際に通院した日のみ30日を限度に傷害通院保険金を受け取れる。

がん保険と傷害保険は、入院をしない通院でも通院給付金(保険金)を受け取れるので、がんやケガの通院保障を重要視するなら、医療保険ではなく、がん保険や傷害保険への加入を検討してみてもいいかもしれません。

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医療保険の通院保障が必要か見極めるための注意点

注意点1:入院後に通院の治療を受ける可能性

医療保険の通院保障が必要かどうか検討するうえで、まず確認しておきたいのが、入院後に通院する可能性がどのくらいあるかではないでしょうか。
下表は入院患者の平均在院日数と退院後に通院する患者の割合を表したものです。

入院患者の平均在院日数と退院後に通院する割合

  退院患者の平均在院日数 退院後に通院する割合
総数 28.4日 76.99%
悪性新生物(腫瘍) 14.4日 84.54%
糖尿病 31.8日 83.33%
心疾患(高血圧性のものを除く) 18.3日 77.32%
脳血管疾患 68.9日 51.50%
肺炎 26日 54.33
乳房および女性生殖器の疾患 4日 96.69%
骨折 35.1日 67.29%
  • 出典:令和5年度患者調査(厚生労働省)

厚生労働省の調査によると入院患者の77%が退院後に通院していることがわかります。 傷病別にみると糖尿病(83.3%)や乳房および女性生殖器の疾患(96.7%)などは通院する割合が特に高く、脳血管疾患(51.5%)や肺炎(54.3%)などは比較的低くなっています。脳血管疾患は通院する可能性が低くても在院(入院)日数は平均の2.5倍近く長い68.9日となっています。 在院日数が長いと通院する割合は低いような傾向にありますが、平均で77%もの入院患者がその後に通院していることから、通院への備えは確実にしておきたいところです。

注意点2:通院した場合に受け取れる給付金額

通院給付金の日額は5,000円の設定を多く見かけますが、医療保険によって設定可能な日額は異なり、おおよそ3,000円から1万円の範囲で設定可能になっています。
また、通院一時給付金の保障もある医療保険では、通院日数に連動した給付金以外に一時金も受け取れます。
退院後療養給付金の保障がある医療保険では、通院をしなくても退院したときに生存していれば給付金を受け取れます。

長期の病気やケガなどの大きなリスクに役立つもの

1.傷病手当金

公務員や会社員が加入している健康保険には傷病手当金があり、全国健康保険協会の場合では、下記の4つの要件をすべて満たすと傷病手当金を受けることができます。

4つの要件

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

  • 仕事に就くことができないこと

  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

  • 休業した期間について給与の支払いがないこと

  • 全国健康保険協会ホームページより転記
  • 傷病手当金の支給期間や支給額などの詳細については、各健康保険のホームページなどで確認してください。

2.就業不能保険・所得補償保険

長期の病気やケガをしたときへの生命保険商品での備えとしては、就業不能保険(所得補償保険)や介護保険なども選択肢として挙げられます。
就業不能保険は、病気やケガなどで保険会社所定の就業不能状態になったときに給付金を受け取れるので、働けないときの収入減を補うことが可能です。
介護保険は保険会社所定の要介護状態(要介護2以上など)になったときに介護一時金や介護年金を受け取れるので、要介護時の介護費用に備えることが可能です。
病気やケガでの大きなリスクに対しては、これらの保険も含めて総合的に検討し、判断するといいでしょう。

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まとめ

医療保険の通院保障は病気やケガで入院し、退院後の通院に備えることができる保障です。
入院を伴わない通院は保障の対象外であることから、入院が必要で、さらに通院による長期の治療も必要な場合に対して備える保障といえそうです。
傷病手当金などの公的な制度やがん保険などのほかの保険、保険に頼らず貯金して備えるなどの手段と比較したうえで、自分にとって最も安心できる備えをしましょう。

  • 各保障の呼び方は保険会社によって異なり、文中では保障内容が伝わりやすい一般的な呼び方で記載しております。
  • 保障内容などの詳細は各保険会社のホームページなどで確認してください。

医療保険についてのご相談やお客様に合った保険のご提案は、保険コンサルタントが無料で承ります。詳細は「保険相談」をご覧ください。

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