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更新日:2025年10月23日

火災保険は年末調整で所得控除を受けられる?

火災保険は、年末調整で所得控除を受けられるのでしょうか?
生命保険や医療保険に加入している場合は所得控除を受けられますが、火災保険は保険料控除の対象になるのかどうか、詳しく解説します。


この記事の要点
  • 火災保険のみの加入では、年末調整で所得控除を受けられない
  • 地震保険に加入している場合は、年末調整で地震保険料控除の対象になる
  • 賃貸住宅では、加入している家財保険に地震保険がついている場合、地震保険料控除の対象になる
  • 一定の要件を満たす長期の火災保険は、旧長期損害保険料控除の対象になる

この記事の監修者

中山 弘恵

ファイナンシャル・プランナー、株式会社プラチナ・コンシェルジュ所属 CFP®資格

中山 弘恵

国内損害保険会社での代理店支援業務、都市銀行での資産運用アドバイス・住宅ローン審査業務を経て独立。1人でも多くの人が心豊かで幸せな人生を送れるサポート役として、講演活動、執筆業務、個別相談を通して、生活に欠かせないお金についての正しい情報と知識を発信している。

国内損害保険会社での代理店支援業務、都市銀行での資産運用アドバイス・住宅ローン審査業務を経て独立。1人でも多くの人が心豊かで幸せな人生を送れるサポート役として、講演活動、執筆業務、個別相談を通して、生活に欠かせないお金についての正しい情報と知識を発信している。


火災保険は年末調整で所得控除を受けられない

火災保険は年末調整で所得控除を受けられないの図

火災や自然災害に備えて、火災保険に加入している方は多いでしょう。
火災保険は、以前は年末調整で所得控除を受けられましたが、2006年(平成18年)の税制改正で、損害保険料控除が廃止されました。
これにより、2007年(平成19年)1月1日以降、火災保険は所得控除の対象から外れ、年末調整で所得控除を受けられなくなりました。

旧長期損害保険は、経過措置で所得控除の対象になる

損害保険料控除は廃止されましたが、2007年(平成19年)1月1日以降、経過措置が取られています。
具体的には、以下に記載した要件を満たす長期の火災保険契約の保険料は、旧長期損害保険料控除の対象となり、所得控除を受けられます。

旧長期損害保険料控除の対象となる要件
  • 2006年(平成18年)12月31日までに契約を締結していること
  • 満期返戻金があり、保険期間または共済期間が10年以上の契約であること
  • 2007年(平成19年)1月1日以降にその損害保険契約などを変更していないこと

このように、旧長期損害保険に該当する保険に加入している場合は、引き続き所得控除の対象になるため、自身の加入している保険が対象かどうか確認してみるとよいでしょう。

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地震保険は年末調整で所得控除を受けられる

損害保険料控除が廃止された一方で、地震保険料控除が新たに設けられました。
控除の対象となる契約は、2007年(平成19年)1月1日以降に居住用家屋(建物)と生活用動産(家財)を補償の対象とする地震保険契約です。

なお、地震保険は単独で加入できないため、火災保険とセットで契約することになりますが、地震保険料控除が適用されるのは、地震保険などに該当する保険料や掛金のみです。
火災保険のみの加入では、年末調整で所得控除を受けられません。

そのほか、地震保険料控除を受ける際に知っておきたいことを2つ紹介します。

1つ目は、補償の対象となる建物が夫婦共有名義であっても、火災保険や地震保険の契約者は1人のため、所得が高い方を契約者にするとよい点です。
なぜなら、累進課税制度によって所得が高いほど所得税は高くなるからです。そのため、所得の高い方が保険料を支払い、所得控除を受けたほうが、より節税につながる場合があります。

2つ目は、賃貸住宅も地震保険料控除を受けられる点です。
賃貸住宅の場合、賃貸契約時に火災保険への加入を求められますが、その内容は主に、家財保険と借家人(しゃっかにん)賠償責任保険です。この補償に加えて、地震保険のついている家財保険に加入していた場合、地震保険料控除を受けられます。

このように、持ち家か賃貸かを問わず、居住住宅で地震保険に加入している場合は、地震保険料控除の対象となります。

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地震保険料控除の控除限度額

地震保険料控除の控除額は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った保険料などを基に計算します。

複数年分の保険料を一括払いにした場合は、「一括払保険料÷保険期間(年)」の計算式で算出した保険料が、毎年の所得控除の対象となります。

地震保険料控除額の計算方法

地震保険料の控除額は、下記の表1、2に当てはめて算出できます。

具体的には、1年間に支払った地震保険料が5万円以下の場合、所得税における控除額は支払金額の全額、住民税の場合は支払金額の半額が控除額となります。

ただし、地震保険料、旧長期損害保険料で控除額の計算方法が異なるため、注意してください。

表1 所得税における地震保険料控除額の計算方法

  年間支払保険料額 控除される金額
@地震保険料 50,000円以下 支払金額の全額
50,000円超 一律50,000円
A旧長期損害保険料 10,000円以下 支払金額の全額
10,000円超20,000円以下 (支払金額×1/2)+5,000円
20,000円超 一律15,000円
@、A両方がある場合 @、Aの控除額の合計
※上限50,000円

表2 住民税における地震保険料控除額の計算方法

  年間支払保険料額 控除される金額
@地震保険料 50,000円以下 支払金額×1/2
50,000円超 一律25,000円
A旧長期損害保険料 5,000円以下 支払金額の全額
5,000円超15,000円以下 (支払金額×1/2)+2,500円
15,000円超 一律10,000円
@、A両方がある場合 @、Aの控除額の合計
※上限25,000円

地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の両方が対象になる場合

地震保険料控除と旧長期損害保険料控除が、別々の契約としてある場合は、各保険に対して控除額を計算し、その合計が最終的な控除額となります。
ただし、所得税の控除限度額は5万円、住民税の控除限度額は2.5万円です。

一方、積立型の火災保険などのように、1つの契約で地震保険料控除と旧長期損害保険料控除の両方に該当する保険料が含まれている場合は、いずれか一方を選択して申告します。その際、一般的には保険料控除額が大きくなる地震保険料を選択するとよいでしょう。

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地震保険料控除証明書の取得方法

年末調整で地震保険料控除を申告するときは、地震保険料控除証明書を「給与所得者の保険料控除申告書」とあわせて勤務先に提出します。

ここからは、地震保険料控除証明書の取得方法を見ていきましょう。

契約状況によって、地震保険料控除証明書の取得方法は異なる

地震保険料控除証明書を書類で受け取る方法は、契約状況によって、以下の3つに分けられます。

火災保険とセットで地震保険に加入した場合

契約後に届く保険証券に添付されている

保険期間の途中で地震保険を付帯した場合

中途付帯保険証券(※)に添付されている、もしくはハガキで届く

契約年の翌年以降

保険契約継続証(※)に添付されている、もしくはハガキで届く

  • 保険会社によって名称は異なります。

ハガキの場合は、10月ごろに契約している保険会社から届きます。
もしも、地震保険料控除証明書を紛失した場合は、加入している保険会社の専用サイトなどから再発行を依頼、または保険会社に問い合わせてください。

地震保険料控除証明書を電子発行で取得する

地震保険料控除証明書は、保険会社から郵送で届く以外に、電子発行による取得が可能です。

【勤務先が電子提出に対応している場合】

勤務先が年末調整の電子提出に対応している場合は、取得した電子的控除証明書(※1)を提出します。

提出方法は、事前にダウンロードした年調ソフト(年末調整控除申告書作成用ソフトウェア)に、住所や氏名などの基礎項目を入力します。
続いて、取得した控除証明書の電子データをインポート(保険料控除額が自動入力)して、年末調整申告書の電子データを作成します。完成した年末調整申告書のデータと控除証明書のデータをあわせて、勤務先に送信します。

なお、利用する年調ソフトは、勤務先の指示に従い、決められたソフトで作成してください。国税庁がリリースしている年調ソフトを使用する場合は、「年末調整控除申告書作成用ソフトウェアダウンロード(国税庁)」からダウンロードできます。

  • 1 従来の地震保険料控除証明書と同じ内容を記載した電子データ(XMLファイル)の控除証明書

【勤務先が電子提出に対応していない場合】

勤務先が電子データの提出を受け付けていない場合は、取得した電子的控除証明書をそのまま印刷して使用することはできません。

まず、国税庁が提供している「QRコード付証明書等作成システム」で、QRコード付控除証明書(※2)を作成します。作成したQRコード付控除証明書を印刷し、「給与所得者の保険料控除申告書」とあわせて勤務先に提出します。
詳しい提出方法などは、国税庁のホームページ内「QRコード付証明書など作成システムについて」をご確認ください。

  • 2 電子的控除証明書をPDFファイルに変換した控除証明書

ここからは、電子発行による3つの取得方法を、手順とともに紹介します。

  • 保険会社のマイページを利用した電子発行
  • 保険料控除証明書発行サービスを利用した電子発行
  • マイナポータル連携による電子データの自動取得

保険会社のマイページを利用した電子発行

1.保険会社のホームページにある、お客さまページ、マイページなどの専用サイトにログイン

2.電子的控除証明書をダウンロード

保険料控除証明書発行サービスを利用した電子発行

1.損害保険会社が共同で構築した「保険料控除証明書発行サービス」のトップページからログイン

2.契約の証券番号を検索画面で入力し、電子的控除証明書をダウンロード

保険料控除証明書発行サービスの利用には、ID登録、パスワードの発行が必要です。
また、マイナンバーカードを利用した電子発行も可能です。

マイナポータル連携による電子データの自動取得

マイナポータル連携とは、保険会社が提供する地震保険料控除証明書のデータを、マイナポータルを通じて年調ソフトに自動入力する機能です。ただし、この機能は、勤務先が電子データの提出を受け入れている場合のみとなります。

ここからは、マイナポータル連携を利用するための事前準備について、以下の@〜Cで説明します。国税庁の「マイナポータル連携特設ページ」もあわせてご確認ください。
なお、マイナポータル連携に対応している保険会社は、国税庁の「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」で確認できます。

マイポータル連携で電子データを取得した場合、翌年以降、以下A〜Cの設定は不要です。

@ マイナンバーカードの読み取り機器の準備

・マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダライタ、またはマイナンバーカード対応のスマートフォン(※1)を用意

A マイナポータルを開設(ICカードリーダライタ、または対応のスマホを利用)

・マイナポータルにアクセスし、利用者登録(※2)を行う

B マイナポータルと民間送達サービスを連携

・マイナポータルから「もっとつながる」機能を利用し、民間送達サービス(※3)のアカウントを開設

  • 3 民間企業が提供しているインターネット上に、個人専用のポストを作成し、自身宛てのメッセージやレターを受け取れるサービス

C 民間送達サービスのアカウントを登録

・契約している保険会社のホームページから民間送達サービスへ、控除証明書などのデータが届くように設定(※4)

  • 4 方法は、保険会社によって異なる

年末調整の電子化で、控除証明書の紛失や申告の手間を軽減できる

保険料控除証明書の電子発行について説明しましたが、最後に、年末調整の手続きが電子化されることのメリットを紹介します。

1つ目は、保険料控除申告書への記入や控除額の計算などが省略できることです。
年調ソフトに電子データを取り込むことで、年末調整控除申告書への記入や控除額の計算を、年調ソフトが自動的に行います。

2つ目は、控除証明書の紛失を防げることです。
ハガキなどの書類が不要になるため、紛失のリスクもなくなり、紛失した場合の保険会社への再発行を依頼する手間もなくなります。

ただし、保険料控除証明書発行サービスやマイナポータルを利用して電子データを取得した場合は、翌年度以降、ハガキなどの書類で保険料控除証明書が発行されません。
書類で取得したい場合は、注意が必要です。


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