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火災保険を学ぶ
噴火による被害は補償が受けられるのでしょうか?
保険で補償される噴火による被害について解説します。
火山の噴火によって住居や家財に被害が遭った場合、火災保険で補償を受けられるのでしょうか。 火災保険では「地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害」は、補償の対象外とされています。一方、地震保険では、「地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失による建物や家財の損害」を補償しています。火山の噴火で想定される被害は、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。
噴火は、いつ起こるか予測するのが難しく、規模によっては甚大な被害になりかねません。上記の被害例は一部にすぎませんが、これらをもとに、噴火による被害がどのような保険で補償されるのか見ていきましょう。
被害例:
噴火を原因とする火災、損壊、埋没または流失による建物や家財の損害は、地震保険を付けていると補償されます。地震保険は単独で加入することはできないため、火災保険に地震保険を付けます。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲となります。ただし建物は5000万円、家財は1000万円が限度です。
地震保険では、保険の対象となっている建物や家財の損害の状況に応じて、「損害の程度」を「全損」、「大半損」、「小半損」、「一部損」に分類します。その「損害の程度」によって支払われる保険金が決まります。(関連ページ:地震保険の保険金支払い基準)
損害の程度 | 支払われる保険金(建物・家財) |
---|---|
全損 | 地震保険金額の全額(時価額が限度) |
大半損 | 地震保険金額の60%(時価額の60%が限度) |
小半損 | 地震保険金額の30%(時価額の30%が限度) |
一部損 | 地震保険金額の5%(時価額の5%が限度) |
時価とは、同等の物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、使用期間や経過年数などに応じた消耗分を差し引いた金額のことです。
また、地震保険の対象となるのは、居住用の建物とその建物に収容されている家財です。住居と店舗が一緒になっているなどの建物(これを併用住宅という)であれば、その建物の住居部分と家財のみを地震保険の対象にすることができます。事業用の建物とそこに収容されている什器や備品などを補償するには、企業向けの火災保険に地震・噴火・津波を補償する特約を付ける必要があります。企業向けの火災保険の契約方式は居住用の火災保険と異なるため、詳しいことは保険会社に問い合わせましょう。
被害例:
通常、車の損害や交通事故による相手への賠償は自動車保険で補償が受けられますが、噴火が原因で自動車事故を起こしてしまったり、車に損害が生じたりした場合は、自動車保険では補償されません。なお、保険会社によっては、地震・噴火・津波によって、車が保険契約時の時価額を上回る損害(これを全損という)となった場合に一時金が支払われる特約や、被保険者が地震・噴火・津波による傷害が原因で、事故当日から決められた期日以内に死亡した場合、死亡一時金が支払われる特約を扱っているところもあります。
被害例:
登山やハイキングをしている最中に噴火に遭い、ケガをすることも考えられます。ケガは普通傷害保険の対象ですが、「地震もしくは噴火またはこれらによる津波」は基本補償の対象外です。ただし、これらの天災によるケガや死亡を補償する特約を付けることで補償が受けられます。傷害保険は一般的に保険期間を1年にして加入しますが、登山をする回数が年に数回程度なら、国内旅行傷害保険に加入し、天災による被害を補償する特約を付ける方法もあります。
また、ピッケル、アイゼン、ザイル、ハンマー等の登山用具を使用した本格的な登山は、ケガをする可能性が高いため、傷害保険や国内旅行傷害保険の基本保険料を払っただけでは補償されませんが、割増保険料を追加で払うことにより補償されます。登山やハイキング専用の保険を取り扱っている保険会社もあります。このような保険は、傷害保険を基本として、補償の範囲を登山やハイキングに絞ったものです。登山をする頻度や登山の種類に応じて保険を選ぶといいでしょう。
個人が自然災害の被害に備えるには、民間の保険を利用することになりますが、実際に被害に遭った人(被災者)を公的に支援する「被災者生活再建支援制度」についても、ぜひ知っておきましょう。
この制度は、被災者生活再建支援法に基づき、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火などの自然災害により、居住する住宅が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯(被災世帯)に対し、被災者生活再建支援金(支援金)を支給し、生活の再建を支援するものです。支援金には住宅の被害の程度に応じて支給される「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じて支給される「加算支援金」があり、この2つの合計額が支給されます。支給額は最大で300万円です。
A住宅が全壊した世帯
B住宅が半壊または住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
C災害による危険な状態が続き、住宅に住めない状態が長期間継続している世帯
D住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ住むことが困難な世帯(大規模半壊世帯)
被害の程度 | 世帯人数 | |
---|---|---|
2人以上 | 1人 | |
全壊(Aに該当) | 100万円 | 75万円 |
解体(Bに該当) | 100万円 | 75万円 |
長期避難(Cに該当) | 100万円 | 75万円 |
大規模半壊(Dに該当) | 50万円 | 37.5万円 |
再建の方法 | 世帯人数 | |
---|---|---|
2人以上 | 1人 | |
建築・購入 | 200万円 | 150万円 |
補修 | 100万円 | 75万円 |
賃貸(公営住宅を除く) | 50万円 | 37.5万円 |
加算支援金は、一旦住宅を賃借した後に住宅を建設・購入する場合は合計で200万円が支給されます。同様に、補修する場合は合計で100万円が支給され、世帯人数が1人の場合は、その3/4となります。
支援金は、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金から支給され、その1/2を国が補助する仕組みになっています。また、支援金の使途には制限がなく、被災者にとって利用しやすい制度になっています。ただし、この制度が適用になるには、都道府県・市町村ごとの人口によって、全壊被害の生じた住宅の数が一定数に達することが要件になっています。
いったん噴火が起きると甚大被害になりやすい住居ですが、地震保険を付けていても保険金が支払われない場合があります。その主なケースとは次のとおりです。
実際に事故が発生し損害を受けたときには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。一般的な保険金の請求方法とその流れを見てみましょう。
損害保険金の請求手続き
①契約者は、保険会社に噴火による損害があったことを連絡します。連絡する内容は、契約者名や保険証券番号、事故の日時・場所、保険の目的、事故の状況などが一般的です。
②保険会社から、地震保険調査員の訪問調査日について連絡があるので、日程を調整します。
③調査日に、地震保険調査員が訪れ、被害状況を確認します。必要に応じて、保険金請求に必要な書類の案内があります。
被害の程度が大きく保険金請求額が高額になる場合は、印鑑証明書や建物登記簿謄本(保険の対象が建物の場合)などの提出が必要になることもあります。
④保険会社は、調査結果から「損害の程度」を「全損」、「大半損」、「小半損」、「一部損」に分類し、算出した保険金を契約者に連絡します。
⑤契約者は、保険会社の連絡を受け、保険金請求に必要な書類を提出します(保険会社は、契約者に支払う保険金の金額について連絡し了解を得ていることが前提です)。
⑥契約者が指定する銀行口座に保険金が支払われ、手続きは完了します。
地震保険の保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で設定します。また、建物は5000万円、家財は1000万円が限度です。火災保険の保険金額は、同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要な金額(これを再調達価額という)に設定します。つまり、地震保険は、契約が可能な上限に設定したとしても、同等の建物を建築したり購入したりすることはできないことになります。家財についても同様のことがいえます。これは、地震保険の位置づけが、保険金で代替となる資産を再築したり購入したりするのではなく、被災者の生活の安定に貢献するものだからです。噴火による損害を地震保険で備える際には、この考え方を理解しておきましょう。
中山 弘恵(なかやま ひろえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
国内損害保険会社での代理店支援業務、都市銀行での資産運用アドバイス・住宅ローン審査業務を経て独立。1人でも多くの人が心豊かで幸せな人生を送れるサポート役として、講演活動、執筆業務、個別相談を通して、生活に欠かせないお金についての正しい情報と知識を発信している。
潟vラチナ・コンシェルジュ所属